公務員が病気(精神疾患・うつ病)や怪我で休みを取る時に、「病気休暇(私傷病休暇)」と「休職」と2つの制度があります。
病気休暇は最大90日で給料が満額支給されるのに対して、病気休暇後の休職では最大3年間認められ、給料は満額ではなく8割など制限されることになります。
この制度を理解することで、体調を崩した時にまずはどの程度の期間休みを取った方がいいのか、収入について生活ができるのかという判断ができるようになります。
うつ病などになった場合に「まずは3ヶ月の休暇」と診断書をもらう場合が多いのは、この制度が一つの目安となっています。
公務員の病気休暇と休職制度の違いについて
公務員の病気休暇と休職制度の大きな違いは、「期間」と「支給される給与の金額」です。
期間 | 給与の金額 | |
---|---|---|
病気休暇 | 最大90日 | 100%支給 |
休職 | 休職後1年までの間 | およそ80%支給 |
休職後1年後~3年まで | 無給 *地方共済から手当あり |
※国家公務員と地方公務員では、別々の制度で取り決めが行われるので、異なる場合があります。国家公務員は「人事院規則」、地方公務員は各地方の「条例」に記載されていますので、ご確認くださいね。
診断書を提出した後は、病気休暇を取得できます。
満額の給与を受け取ることができるのは、最大90日間です。(交通手当や管理職手当は除く)
90日以降も休職期間が続く場合は、休職扱いとして会社に届け出ます。
休職期間中、1年が経過するまではおよそ80%の給与が支給されるしくみです。
1年経過後は無給となりますが、3年間は失職することがなく、体調が回復すると職場復帰が可能となります。
公務員の職場は人間関係やら住民の苦情やら色々あるから。
公務員の病気休暇は最大90日認めらている
病気休暇は、病気の治療に必要であると認められれば取得することができるものです。
しかし、1週間以上にわたり病気休暇で休む場合には、注意が必要です。
〜6日 | 6日を超える場合 | |
---|---|---|
病気休暇の取得の場合 | 診断書の提出は必要なし | 診断書必要 |
*具体的な日数はお住いの自治体の条例をご確認ください。微妙に期間が違う場合があります。
医師の診断書がないと、1週間以降の欠勤はただの病欠扱いになってしまいます。
長期的に病気休暇を取りたい人は、必ず医師の診断を受けましょう。
給与については先ほどお伝えしたように、病気休暇中は100%の支給額を最大90日間受け取ることが可能です。
病気や怪我は、予期せぬタイミングで起こるものなので、満額受け取れる制度はありがたいですよね。
ですが、昇給よりも自身の健康が大事なのはいうまでもありません。
病気休暇がリセットされる場合
≪クーリング期間制度≫
病気休暇を取得していた職員の病状が回復して職務に復帰したが、病気が再発して再び病気休暇を取得することとなった場合、復帰した日数によってはクーリング期間制度が適用される。
この制度は、病気休暇を断続的に繰り返して取得するという濫用を防止するためのもので、具体的には、連続する8日以上の期間の病気休暇を取得した職員が、その病気休暇の期間の末日の翌日から、実勤務日数が20日に達するまでの間(クーリング期間)に、再び病気休暇を取得したときは、前後の病気休暇期間を通算するというものである。
同規則15-14第21条第2項により、再度の病気休暇がクーリング期間内であれば、前後の病気休暇の期間は引き続いているものとして日数を通算し、クーリング期間外であれば再び病気休暇を取得した日から改めて日数をカウントすることとなる。ー引用サイト(大阪府)
現在国や多くの自治体ではクリーリング期間を設けていて、復帰後休みがちの職員に対しては、病気休暇を通算できる仕組みを取り入れています。
これは、復帰後休みがちな職員についてはしっかりと仕事ができるのか判断するための制度と言えます。
ですが、復帰後一定期間を経ると病気休暇を新しく取得できる場合があります。 (*制度は自治体によって違いがあります。)
休んでいる期間のボーナスについて
また、ボーナスは過去半年分を遡り、実際に業務を行ったものに関してカウントされます。
たとえば、ボーナス以前の6か月間のうち3か月出勤していれば、3か月分のボーナスを受け取れますよ。
病気休暇を取得したタイミングによって異なりますので、確認してみましょう。
病気休暇では、勤務していない土日祝日もカウントされる場合がある。
(3) 特定病気休暇と特定病気休暇の間に挟まれている「週休日、休日、代休日その他の病気休暇の日以外の勤務しない日」も、負傷又は疾病により休まなければならない状態が継続していると考えられることから、原則として、特定病気休暇を使用した日とみなして、「1日」と計算すること。ー人事院
出典:https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/15_kinmujikan/1512000_H23shokushoku402.html
上のように国家公務員の人事員では病気休暇を取得する場合には「勤務しない土日もその日数に含む」という見解になっています。
休むと昇給がない場合も
公務員では1年間である一定日数休むことで昇給がない場合があります。
国や多くの地方自治体では、1年間の勤務日数の6分の1としているのが現状です。
つまり次の年も同じ給料ということになります。
その辺は給料表を見ることで、公務員がどれくらい昇給していくのかを知ることが可能です
でも昇給がたとえなくても、健康が一番大事だと思うわよ。
給料や昇進を気にして自分を犠牲にする生き方が価値があるのかしっかりと考えるべきよね。
公務員の休職制度について
病気休暇を90日取得後、出勤できるまでの回復に至らない場合は、ほどんどの人は「休職」を選んでいます。
病気休暇を延長する方法もありますが、その場合は給与が50%まで減額されてしまうからです。
「休職」であれば、1年間はおよそ80%の給与を受け取ることができます。給与が大きく減らないことは、大きなメリットと言えます。
1年経過後は、無給となりますが3年間は失職することはありません。本人の体調が回復した場合は復職することが可能ですよ。
この一年経過後の休職中のボーナスに関しては、病気休暇の時とは異なり、報酬は支給されない場合が多いでしょう。
休職中も過去半年の業務に対して支払われるので、過去半年間出勤した日がなければ、実務実績がないとみなされるからです。
しかし、80%の給与が支払われている1年間は、休職中であってもボーナス時に給与分は支払われます。
このような待遇が一般企業と比べ、公務員はとても手厚いのです。
休職中の無休期間でも地方共済からの手当がある。
公務員が休職し、1年を超えた場合に制度上無休となります。
しかしながら地方共済組合からおおよそ2分3の手当が支給されることになっています。
組合員が公務によらない病気やケガ、出産、育児、介護などで勤務を休み、これにより報酬が支給されないときは、その事由により「傷病手当金・傷病手当金附加金」、「出産手当金」、「育児休業手当金」、「介護休業手当金」または「休業手当金」の休業給付が支給されます。ー地方共済
休職後三年後は分限処分により辞めさせれることも
分限処分とは、一般職である日本の公務員で、勤務実績が良くない場合や、心身の故障のために、その職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合など、その職に必要な適格性を欠く場合、職の廃止などにより公務の効率性を保つことを目的として、その職員の意に反して行われる処分のこと。現行では疾病による休職と免職がある。ーウィキペディア
公務員の制度では「分限」と行って職員の勤務態度などについての処分の規定があります。
休職は基本的に制度上3年となっており、3年経過後は分限処分により辞めさせされることになっています。
症状によっては初診でも診断書を書いてもらうことも可能。
うつ病などの症状が深刻化している場合には、症状によって初診で診断書を書いてもらうことが可能です。
以前は診断書の病名について「うつ病のため」などダイレクトな書きぶりであったのが、最近は「うつ症状」「抑うつ状態」などの柔らかい書きぶりとなっています。
やっぱり患者の話に親身になって聞いてくれるお医者さんがいいですよね。
復帰へのステップ
復帰する場合は、医療機関の主治医の先生、そして職場の上司と話し合ってしっかりと決める必要があります。
厚生労働省のサイトには「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」という職場復帰までの流れをさらに細かく説明している資料があります。
参考になるので、復帰する場合には目を通しおくことをオススメします。
まとめ
誰にでも突然うつを患ったり、怪我などに見舞われる可能性がありますよね。
そのような急な休職時に手厚い制度が整っている公務員は、一般企業と比べてとても恵まれているといえます。
公務員は復帰に向けてしっかりとした制度が整っていると言えます。
もし、公務員であるあなたが突然うつや怪我を負ったなら、制度を最大限活用するために、まずは医師の診断を受けましょう。
そして、病気休暇中に思うように体調が回復しなければ、休職することがおすすめです。
もしもの時のために、病気休暇や休職時の給与やボーナスについてを知っておき、金銭的な見通しを持っておくと安心ですよ。
公務員でも毎日の積み重ねで手軽にコツコツ収入が増やせる方法と資産運用について解説。知っていると知らないとでは将来的に大きな違いに!