公務員がうつ病などのメンタル不調で休む時に、どのくらいの期間休むのかを主治医の先生に相談して決めることになります。
多くの場合診断書には「3ヶ月の休養を要する」と書かれる場合が多いようです。
この理由としては私傷病休暇(病気休暇)は最大90日認められており、その間は給料やボーナスが満額支給される制度になっているためです。
なので、期間の延長はあるかもしれませんが、仮に3ヶ月を目安として休む期間を定めた場合は、その後復職に向けて準備をすることになります。
病気休暇の制度について
病気休暇とは労働者が健康上の理由で働けない場合に仕事を失う事なく、賃金も保障されたなかで申請できる休暇制度になります。
要は、病気休暇制度を使って長期休む場合に休んでいる間、職を失う事や給与の心配をしなくていいという事です。
しかし、長期の休みといっても保障された中での休暇期間は決まっています。
病気休暇)
第二十一条 病気休暇の期間は、療養のため勤務しないことがやむを得ないと認められる必要最小限度の期間とする。ただし、次に掲げる場合以外の場合における病気休暇(以下この条において「特定病気休暇」という。)の期間は、次に掲げる場合における病気休暇を使用した日その他の人事院が定める日(以下この条において「除外日」という。)を除いて連続して九十日を超えることはできない。
一 生理日の就業が著しく困難な場合
二 公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤(補償法第一条の二に規定する通勤をいう。)により負傷し、若しくは疾病にかかった場合
三 規則一〇―四第二十三条の規定により同規則別表第四に規定する生活規正の面Bの指導区分の決定又は同表に規定する生活規正の面Bへの指導区分の変更を受け、同規則第二十四条第一項の事後措置を受けた場合ー引用サイト
上記は、国家公務員法によって設置された中央人事行政機関である人事院が制定した規則を一部抜粋したものです。
中身を要約すると、基本的には私傷病休暇(病気休暇)は90日と決まっていますが、例外として『生理や業務上での負傷や病気』場合は90日を超えても病気休暇が使えるということです。
しかしながらほとんどの場合は90日というのがひとつの目安になります。
注意が必要なのは上記が国家公務員法であって、地方公務員の場合は地方公務員の休職については地方条例に規定されています。(多くの場合は国家公務員を準用している場合が見受けられます。)
またその条例も地域によって違いがあるようなのよく調べて把握する必要があります。
うつ病では90日を超えると休職扱いになる。
うつ病などの精神疾患の場合には90日までが病気休暇になるため、90日を超えると休職となります。
休職では給料は満額ではなく、またボーナスも影響してくる状況となります。
休暇の期間は3ヶ月が多い理由
じゃあなぜ休暇の期間は3ヶ月が多いのかというと、前項で見てきたように90日間は仕事や給与が保障されているからだと思われます。
「じゃあ90日を超えた場合はどうなるの?」という事になると思います。90日を超えての休み方には病気休暇を延長するパターンと病気『休職』になるパターンの2種類が考えられます。
休暇を延長する場合は基本給の半額が支払われますが、休職の場合は期間が最長3年となっており、90日〜1年の間は基本給の80%が支払われますが、1年を超えると無給になります。
給与支払いの差がある事から実際は休職扱いにする場合が多いようです。
3ヶ月を休養期間として診断書に書くのは「まずは私傷病休暇期間の3ヶ月の休みを取ってみてその後の心身の状況を見ましょう」という意味が含まれていると思います。
給料が満額支給される期間で復帰に向けて頑張り、その後期間を延長するかどうかは主治医と話し合う必要があります。
でも90日間の休暇についてはあくまでも平日のカウントになるから3ヶ月休んだとしても90日使い切ることはないわ。(土日祝は90日に含まないため) マックスで4ヶ月くらいね。
病気休暇は土日祝日含まれる(国の場合)
(3) 特定病気休暇と特定病気休暇の間に挟まれている「週休日、休日、代休日その他の病気休暇の日以外の勤務しない日」も、負傷又は疾病により休まなければならない状態が継続していると考えられることから、原則として、特定病気休暇を使用した日とみなして、「1日」と計算すること。ー引用
出典:https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/15_kinmujikan/1512000_H23shokushoku402.html
国の制度では病気休暇を取得した場合には、勤務していない土日祝日は含まれるとされています。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
病気休暇のリセットについて〜クーリング期間制度
≪クーリング期間制度≫
病気休暇を取得していた職員の病状が回復して職務に復帰したが、病気が再発して再び病気休暇を取得することとなった場合、復帰した日数によってはクーリング期間制度が適用される。
この制度は、病気休暇を断続的に繰り返して取得するという濫用を防止するためのもので、具体的には、連続する8日以上の期間の病気休暇を取得した職員が、その病気休暇の期間の末日の翌日から、実勤務日数が20日に達するまでの間(クーリング期間)に、再び病気休暇を取得したときは、前後の病気休暇期間を通算するというものである。 ー引用サイト(大阪府)
病気休暇については乱用を防ぐために、20日間までは病気休暇を取得した場合には通算されることになっています。
なので、復帰後にしっかりと働くことができれば、その後再度体調が悪くなった場合に新しく病気休暇を取得できようになります。
復職に向けて準備をする。
休暇とは別で、休職や復職に関しては任命権者(知事や市長)の判断が必要なるとあります。
主治医からの許可も必要になりますので、しっかりと主治医と話し合った上で復職を考えていく必要があります。
うつ病などが主因で休職した場合は50%近くが再発し再休職しているとのデータもあります。
復職を焦って再休職したのでは意味がありません。
自身の体が職務に耐えられる状態になっているか主治医とよく相談し、慣らし勤務等を行ってからフルタイム勤務をするなど工夫すると良いでしょう。
休んでいる職員に対して上司は「そろそろ出てきたら?」という発言はしないようにしています。
理由はそれ理由にして復職して、再度休職した場合には上司が責任を問われることになるからです。
その後職場で身体を慣らしながら続けていくかを考えてもいいかもしれません。
公務員が休職となった場合〜その後の流れ
期間 | 給与の金額 | |
---|---|---|
病気休暇 | 最大90日 | 100%支給 |
休職 | 休職後1年までの間 | およそ80%支給 |
休職後1年後~3年まで | 無給 *地方共済から手当あり |
私傷病期間の90日を超えて休職になった場合には、休職中の1年間の給料は8割の支給となります。
その後2年間からの2年間は制度上無休となりますが、公務員地方共済から2/3の手当が支給されることになります。
まとめ
病気休暇制度というのは、一般的に民間に比べて優遇されている面もあるかもしれませんが、公務員として復職に向けてしっかりと制度されたものと言えます。
実際に自分に休暇が必要になった場合の事を考えて自分に該当する規定をよく把握しておくと選択肢の幅が広がります。
病気で勤務できるような状態ではないからといってすぐ退職を考えるのではなく休職するという選択もあるのという事を頭に入れておきましょう。
日頃から自身の心と体のケアを行いながら仕事に取り組む事が大切です。